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ガザ難民とは誰か

ヨルダン国内のガザ難民

本プロジェクトで支援対象とするガザ難民とは、現在ガザ地区に在住のパレスチナ難民のことではない。 封鎖以降、ガザ地区の生活はたしかに困難な状態に置かれている。だがここで注目したいのは、 法的・政治的に同様かそれ以上に困難な状態におかれながら、その存在すら指摘されることの少なかった、 ヨルダン国内の 無国籍のパレスチナ人の集団である。
周辺アラブ諸国の中でもヨルダンでは、基本的に大半のパレスチナ人に対して国籍の取得が認められてきた。 そんな中、1967年戦争(第3次中東戦争)後に、ガザ地区からヨルダンへ逃れたパレスチナ人に対しては、 ヨルダン国籍が与えられなかった。 現在ヨルダン国内に住む彼らガザ難民の多くは(96%)は 市民権の受益根拠となる国籍をもたない ため、日常生活上多くの不利益を受けている。

無国籍による不利益

現代国家において社会福祉サービスや権利の保障を受けるには、その国の国籍をもつことがひとつの資格要件とされている。 中東も例外ではなく、ヨルダンでは国籍をもたないガザ難民に対して、市民権が制限されている。 国内での滞在自体は専用のIDカードの発行により許可されるものの、職業選択の幅は限られ、 不動産の売買や車の免許の取得には一定の制限が伴う。他のパレスチナ人と異なり一般旅券の給付を受けることはできず、 参政権もない。こうした状況は、 周辺アラブ諸国の中で最も困難な状態にあるとされるレバノンのパレスチナ難民と共通する内容である。

ガザ難民の教育事情

ガザ難民の抱える問題の中で、とりわけ大きな構造的負担となっているのは、高等教育を受けることの難しさである。 彼らは外国人留学生と同じ扱いを受けるため、一般のヨルダン人と比べて高額の授業料を支払わねばならない。 難民キャンプの住民に対しては、救済措置としてヨルダン人料金での受講が許される定員枠が設けられているが、 その受益者は限られる。そのため大学進学率は低く、6.9%にとどまる(ヨルダン全国平均は13.2% 、日本は53.8% )。
就学を困難にする背景には、高い失業率と低所得の影響が考えられる。 ガザ難民が集住するジャラシュ難民キャンプ内での失業率は39%(ヨルダン全国平均は14%)、 平均所得は月収186米ドル(ヨルダン国内の難民平均は311米ドル)である。 学費の支払いが困難な経済状態は、高等教育からの離脱を促し、さらなる高失業率へと結びついていく。

参考資料

ガザ難民の現状の詳細については、こちらのファイルをご参照ください。
論文(pdf)「ヨルダンにおけるガザ難民の法的地位」 (錦田愛子)早稲田大学イスラーム地域研究ジャーナルVol.2

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